ほたるろぐ

仮面二浪なる悪事を企む限界大学二年生による日記のようなもの

ニガテの先にあったものがキライじゃなかった話


 バイト先の副店長の話をさせてくれ。

 


 私は副店長が苦手である。気分屋だし、自分が絶対的に正しいと思い込んでいる節があるし、仕事をサボる。


 副店長を○したくなった瞬間がたくさんあるのでここに書いてストレス発散としたい。

 


 あるとき私はおしぼりを温める機械におしぼりを詰めていた。おしぼりの下に布を敷いておくのだが、店長には、

 

「その布をアルコール除菌のでシュッシュってやって濡らしておけ」

 

と言われていた。このとき同時に

 

「アルコールの匂いが付いてしまうから臭い消しのために石鹸を一緒に入れておいてね」

 

と教えてもらったのでこのことはよく覚えていた。私のいつもその通りに仕事を行なっていた。ところがこの日――確か先週の月曜日のことだが――副店長に怒られた。

 

「下の布は水道で濡らせって俺言わなかった?」

 

もしかすると言ったかもしれないが、同じことを教わるのに店長と副店長に別のことを言われたら、それはまあ店長に従うのが正解だろう。私は他の人にそのように教わったとその場で伝えた。

 

「いや誰もそんなこと教えてないでしょ。ちゃんとやって」

 

理不尽すぎる。本当にいらっとした。はっきりと"店長に"そう教わったと言えばよかったと後悔した。

 


 あとはあれだ。副店長がドリンクつくるのサボりすぎて先に料理が届いてしまったときの話。普通は先にドリンクとお通しを出し、その後キッチンから届き次第料理を提供する。料理がくるまでそれなりに時間がかかる。しかしあろうことか副店長はカウンター席の酔っ払いとおしゃべりして仕事をしない。だからさ、ほら、もう料理きちゃったじゃん。そこで副店長、

 

「ドリンクと料理のオーダー同時に入れるとこうなるから次から気をつけて」

 

いやいやいやいや、この忙しい時間に?いちいちオーダー記憶しといて別々にオーダー入れる余裕あります?ないよね?お客さん何組いると思ってんの?35億?お前がずっとサボってるから新人の私ほとんど1人で頑張ってんですけど?そんな余裕あると思う?絶対ないよね?てかお前も同時に入れてんじゃん?そもそもお前がサボってなけりゃドリンクとっくに提供できてるはずでしょ?


 こんな感じで明らかに私にはほとんど過失がなく、理不尽な理由で怒られまくる。ほんと無理。自分はサボってるくせに。面倒な客のオーダー全部私に行かせるくせに。仕事遅いくせに。なーにを偉そうに。

 


 少しずつ他のバイトの人たちと会話ができるようになってわかったことがある。副店長はバイト内で誰もに嫌われている。好意的な発言をしている人を見たことがない。口を開けば皆、副店長に関する愚痴をこぼす。バイトの異様な一体感はもしかすると副店長という共通の敵がいるからなのかもしれない。

 


 それで昨日は無断で遅刻。店長が連絡を入れたのかなんなのかわからないが、来るはずの時間の2時間後にのこのことやって来た。あの温厚な店長が激おこだった。

 

「みんなさ、もうなるべくあいつと仲良くしないようにしようか。慕ってるふりをするから調子にのるんだと思う」

 

そんな意味のことを言ったと思う。古参のバイトには伝えるべきことだが、まだ何も知らない私の耳に入れたくないらしくあまりはっきりとは聞けなかったが。店長は柔らかい口調でそう言ったが相当お怒りらしいことはよくわかった。


 そんなわけで副店長は店長にもよく思われていないらしい。あいつをクズだと思っているのが私だけじゃないようでなんとなく安心した。

 


 そんな感じでしんどいと感じていたのだが、昨日の後半はどうしてかしんどさがなかった。いろいろ考えたのだが、おそらく、副店長が嫌すぎて苦手の域を超えたのだと思う。

 

 私が誰かを嫌うことは、実はほとんどない。あくまで"苦手"である。苦手を通り越したとき嫌いになるのかと思っていたが、どうやらそうじゃなかったらしい。

 

 どうでもよくなるのだ。


 こんな人のことで頭を悩ますのは馬鹿らしい。もったいない。

 

 ほんと、どうでもいい。

 

 たぶん、副店長はこの域に達したのだと推測される。だから、何を言われても気にならなかった。いつものように怒られても、無心で、それこそ機械のように、

 

「はい、すいません」

 

を繰り返せた。今までは、いや自分が合っていると反論を試みていたが、そんな気はもうさらさら起きなかった。ああまたなんかよくわからないこと言ってるなとしか思えない。

 

 どうでもいいと思えたら嘘のようにしんどさが消えた。副店長がゴミであることに変わりはないが、これでなんとか続けていけそうである。

 

 

 今は新幹線で博多へ向かっていて、これを書いている。あんスタの推しイベが昨日から始まったのでひたすらダイヤ(ライブをする体力的なものを回復するのに使う)を砕いて全力疾走しているところである。2000位までが最高報酬なのだが現在1000位付近だ。経過は良好である。しかしこのままでは明らかにダイヤが足りない。あといちまんえんくらい投入する必要があるかもしれない……。

 

 それでは。